ゾイドワイルド第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」のレビューや感想、見どころなどを解説したり考察したりします。
ネタバレありなのでご了承ください。
・第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」のレビュー
・第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」のあらすじと位置付け
・第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」の見どころと解説
・まとめ
・その他の記事
・参考資料
第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」のレビュー
多くのアニメは各話いずれかに分類されると思います。
- 神回(物語全体を通して見どころとなる重要回)
- 説明回(物語全体の理解に必要な説明や設定に触れられる回)
- 心情描写回(登場人物の内面の成長や心情の掘り下げに時間を割く回)
- 単発回(見なくても前後関係に支障がない回)
そして、「ゾイドワイルド」における第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」は「心情描写回」なのではと思います。
さらに、ゾイドシリーズの中でも「生き物としてのゾイド」をより強く押し出している「ゾイドワイルド」において、
第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」はゾイドワイルドのコンセプトを活かしたとても魅力的な回です。
第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」のあらすじと位置付け
あらすじ
日照りに困る村の子供のであるナッツとトマト。
森の中に住む温厚な野生のラプトールと友達だった。
量産型デスメタルキーの実験のために捕まったラプトールは暴走して村を襲ってしまう。
そこに駆け付けたフリーダム団とドレイク。
暴走するラプトールをドレイクはギルラプターと共に攻撃する。
位置づけ
以前から組織に対して不満を持っている様子が見られたドレイク。
今まではゾイドに対する冷酷さが目立つドレイクでしたが、今回でゾイドに対して愛情がある描写も追加されました。
また、前回の第22話にて修行をして強くなったアラシ。
そのアラシが「スピードもパワーも上がってやがる」と感じたドレイク&ギルラプターも同様に腕を上げている様子。
結果としてドレイクは今回アラシにほぼ敗北しましたが、
比較的序盤から登場しているドレイク&ギルラプターが、成長していくアラシ達のインフレに取り残されないような描写があるのも重要な点ではないでしょうか。
第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」の見どころと解説
ドレイクのゾイドに対する思い
暴走したラプトール。
それでもラプトールを信じるナッツ。
ナッツの気持ちは届かず、ラプトールはナッツを襲おうとします。
その瞬間、強制解放したドレイク&ギルラプターがラプトールを真っ二つ。
ラプトールを信じていたナッツがラプトールに襲われたら、ナッツはゾイドに対して心の傷を負うことになったでしょう。
また同様に、暴走して自分でコントロールできない中でナッツを傷つけてしまえばラプトール自身も心に傷を負うことは避けられない。
ドレイクがこれらを察して不本意ながらラプトールを攻撃したのは明らかですね。
ラプトールの実験中も黙っていたドレイク。
ドレイクのゾイドに対する愛情が端々に見られます。
ラプトールの死
ラプトールはギルラプターによって真っ二つに。
最終的に雨に濡れ、まるで目に涙を浮かべるようなシーンが入ります。
今回の「ゾイドが死んで周囲やそのゾイド自身も悲しむ」という描写はゾイドワイルドならではのシーンではないでしょうか。
これまでのゾイドは「生物」としてよりも「兵器」としての側面が強く、どうしても「ゾイドが死ぬこと」と「生物の死」がつながりにくい傾向がありました。
ゾイドの死が含まれる話は他のゾイドシリーズでもたくさんあります。
例えば初代のアニメであるゾイド(無印)にてアーバインのコマンドウルフは命を落とし、ライトニングサイクスとして生まれ変わる話はファンも多い神回です。
しかしこれは「相棒の死」としての側面が強い気がします。
今回のラプトールのような、「生物の命が失われた」悲しさや「二度と生き返らない」悲しさはゾイドワイルドならではだと思います。
真っ二つのラプトール
今回、ラプトールはギルラプターによって真っ二つにされます。
この描写も「ラプトールの死」をしっかり表現しています。
ゾイドワイルドでの戦闘では、爪や牙でボディが傷ついたり体当たりして気を失うといった「死んではいないかも」と思わせる描写が大多数です。
また、ゾイドシリーズの共通設定として「ゾイドはゾイドコアが無事なら体が傷ついても再生できる」というちょっとゾンビっぽい性質があるので、「ゾイドが死ぬ」という危機感が薄くなりがち。
そんな中、今回のラプトールは容赦なく真っ二つ。
明らかに命を奪われている。
これまでそういった描写が少なかったこともあって、その深刻さがすごく伝わります。
ここで従来の外装を引っ掻かれたりあるいは体当たりを受けるような攻撃ではなく、ラプトールが真っ二つに切られる描写を持ってきたのは第23話の重要ポイントではないかと思います。
まとめ
キットの評判は上々ですが、
ことアニメに関しては旧来のファンからはやや評価が低い「ゾイドワイルド」。
ストーリーが低年齢化しミリタリー調も減少したのがその背景にあるのではないでしょうか。
一方で、従来のゾイドとは異なった様々な試みがあり、ポイントポイントで見れば評価される点も多々あると思います。
特にアニメに関しては今までのゾイドシリーズ以上に「ゾイドと人間の絆」を描きやすく、これは他のゾイドシリーズにはない強みです。
第23話「慟哭 雨に濡れた竜爪」は、そうった「相棒としてのゾイド」や「生物としてのゾイド」の魅力を前面に押し出した回と言えるでしょう。