小説および映画「かがみの孤城」に関するページです。
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水守理音(リオン)の記憶は消えたのか?
リオンも含め7人の記憶が最終的に消えたのか否かは言及されず物語は終わります。
このため解釈は人それぞれで絶対的な正解はありませんが、各描写を踏まえると
リオンは他の6人と異なり記憶が全部ないし一部残った状態であると解釈するのが妥当と考えます。
解説
リオンの記憶の描写
リオンの記憶の有無について一番わかりやすいのが、エピローグである新年度の登校シーンでしょう。
不安と戸惑いがありながら登校するこころに対し、明らかに親しげに話しかけるリオン。
こころを待っていたような様子もありますし、性格の差を差し引いても明らかにこころと反応が異なります。
孤城での別れ際、オオカミさまことリオンの姉ミオが「善処する」と言った通り、弟であるリオンはこころ達に関する記憶がある程度残っていることが想像できます。
なぜリオンだけ記憶が残ったのか
こころの戸惑い方や他の登場人物のその後の様子を見ると、記憶がある程度残っているのはリオンだけではないかと考えられます。
ではなぜリオンだけなのか。
オオカミさまがリオンの姉であり「善処」できた、要するにリオンが特別な存在だったからでしょう。
ただもう少し掘り下げて考えると、
他の6人と異なり、リオンには記憶が残っていい理由があったのだと思います。
そもそも孤城はリオンの願いを姉であるミオが叶えてあげるために生まれました。
リオンは姉と一緒に学校に行きたかったですが年齢差からすれ違いそれは難しく、また姉が亡くなったことで一緒に過ごす時間すらなくなってしまいました。
加えて(娘を亡くした母親は半ばリオンを遠ざけるように勧めた)ハワイ留学のため、リオンは本来通うはずだった雪科第五中学校に通えず、本来会えるはずだった友達と出会えず、本来送るはずだった日常を送れずにいました。
孤城での記憶はリオンにとって雪科第五中学校の友達と過ごすという願いそのものであり、孤城がミオからリオンへの贈り物だと考えると、残すに値する記憶であったと言えるでしょう。