アニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」のページです。
一部ネタバレも含みますのでご了承ください。
アルの魂は本物なのか?
アルの魂が本物なのか確かめていく過程は、ハガレンの興味深い演出の1つだと思います。
視聴者的には「アルの魂が実は偽物で、エド達が騙していました」という展開はダークファンタジー過ぎてありえない、つまりあまり真に受けていなかった人が多かったのではないかと思います。
また実際、鎧に定着させたアルの魂は本物だったわけですが、
この「アルの魂は本物なのか?」という問いは非常に深く、もっと時間を割いてもいいくらい哲学的なテーマだったと思います。
解説
アルの魂の可能性
鎧に定着したアルの魂の正体は、大きくは3つの可能性があります。
- 本物のアルの魂(エドが腕を代価として真理の扉から連れ戻した)
- エドが意図的に作った魂(エドがアルの記憶も含めて錬成した、本当は存在しない人間)
- エドが無自覚に作った魂(エドがアルを蘇らせたいために作ってしまった魂)
物語の結末としてはアルの魂は本物だったわけですが、道中で「アルの魂が作り物」という可能性を否定することに、エルリック兄弟は頭を使うことになります。
エドが意図的に作った魂
第8話のバリーとの交戦にて、自分の魂が作り物ではないかと悩み始めたアル。
第9話でその思いをぶつけ、ウィンリィの言葉やエドとのやりとりの中でその可能性は(当然ながら)否定されます。
これにてアルフォンス・エルリックという人間は確かに存在していたといことが作中にて確定します。
エドが無自覚に作った魂
しかしながら、アルの魂が本物なのかについてはもう1つの可能性を否定しないといけません。
それは、エドが無自覚にアルの魂を作り出してしまったのではないかということです。
つまり、母親の人体錬成で身体と弟を失ったエドは、必死の思いで弟を取り戻そうとします。
結果として腕を代価にアルの魂を鎧に定着させたエド。しかしこれはエドの思い込みでそれは失敗しており、ただ単にエドは自分の記憶をベースにアルのような魂を作り、鎧に定着させただけなのではないか。本物のアルはあのとき真理の扉の向こうに連れて行かれたままなのではないか。
これが真実か否かを確認することは、当然「アルの身体を取り戻す」というそもそもの目的にも関わっていきます。
結果としては、アルがエドの知りえないアル固有の記憶(ウィンリィに告白して振られた理由)を知っていたことで、鎧に定着させたものが間違いなく真理の扉から連れ戻したアルの魂であるとエドは確信します。
参考資料
『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST STORY』(TVアニメ「鋼の錬金術師」公式サイト)2021年7月25日検索